CaMV35Sプロモータを結合したrolC遺伝子を導入したトランスジェニックベラドンナを実験室内で栽培し、自家受粉によって後代種子を得た。この種子をP1隔離温室に播種したところ、種子が休眠しており、かなり時間が経ってから除々に発芽した。この発芽個体では、矮化型と正常型に分離し、その分離比は約3:1となった。また、この発芽個体のうち矮化型は、発芽当初より矮化性を示し、成葉が3-4枚になると全ての個体で花芽が分化した。このような個体で自家受粉を行ったところ、果実が正常に肥大し、種子が得られた。この種子は、次年度には再度P1隔離温室で栽培試験を行う予定である。 トランスジェニックベラドンナ及び非形質転換ベラドンナについて、果実を取った残りの植物体の根及び茎葉部を凍結保存し、常法に従ってジベレリン、サイトカイニン、アブシジン酸(ABA)の定性・定量分析を行った。その結果、ABA含量は形質転換体で約2倍高かった。一方、サイトカイニン含量はかなり低く、ELISA法の検出限界に近いところでの分析となったが、形質転換体ではゼアチンで約3倍、リボシルゼアチンで約6倍と高くなっていた。また、ジベレリンについては、GA_1では差がなく、GA_4では形質転換体で約2-3倍高かった。しかし、このような変化は、形質転換体では多数の花が咲いていたことに起因するものである可能性も高く、次年度はさらに詳細に検討する予定である。 非形質転換ベラドンナにサイトカイニン、サイトカイニングルコシド、及びジベレリンを処理したが、形質転換体のような性質は見られなかった。また、典型的な短日植物であるアサガオ及び典型的な長日植物であるルドベキアについては、現在、形質転換効率を高めるための再分化法を検討中である。
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