研究課題/領域番号 |
04455006
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
保坂 一夫 東京大学, 教養学部, 教授 (20074289)
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研究分担者 |
田中 純 東京大学, 教養学部, 助手 (10251331)
石田 勇治 東京大学, 教養学部, 助教授 (30212898)
高橋 宗五 東京大学, 教養学部, 助教授 (10134404)
工藤 章 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (90092197)
廣渡 清吾 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60025153)
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キーワード | データベース / 統一ドイツ / マーストリヒト条約 / 統合ヨーロッパ / 外国人労働者 / 基本法 / 多文化社会 / ベルリン |
研究概要 |
平成5年度は来年度に予定される研究成果報告書の完成に向けて、研究成果の総合化をはかった。具体的には、まずドイツの新聞などの一次資料や、研究論文・学術図書を中心とする二次資料の収集・整理・翻訳を継続しておこない、これらの資料をデータ・ベース化して、多角的な研究の基礎資料とした。これらの資料を利用した各研究分担者の個別研究は着実な進展を見せており、その成果は研究報告書『東西ドイツ関係の総合的研究』の諸論文に反映している。だが一方、外国人襲撃事件や、難民問題に起因する基本法改正など、ドイツの政治・社会情勢は流動的に変化を続けており、さらに平成5年10月、ドイツにおいてもマーストリヒト条約が批准され、同年11月1日から同条約が発効することによって、統一ドイツのみならず統合ヨーロッパ全体があらたな段階に突入した。こうした状況を受けて、あらたな問題設定や研究視角の必要性を強く感じたわれわれは、研究組織のメンバー外から講演者を招き、研究集会でそれらの講演者とともに活発な討論をおこなった。例えば、6月の研究集会には、統一ドイツについて著書のある北九州大学の坪郷実氏を迎え、ドイツにおける外国人労働者問題に関する講演と討議の機会を持った。坪郷氏は現在のドイツ政治社会を「政治階級」のゆらぎという視点からとらえ、外国人労働者・移住者・政治亡命申請者への対応や外国人排斥の現象などの分析を通じて、多文化社会の展望へと議論を展開した。また、11月には、東京新聞ヨーロッパ総局長を勤めた辻通男氏から、最新のドイツ情勢について報告を受け、特にベルリンという統一ドイツの抱える問題が集中して現れている大都市の現況について貴重な知見を得た。研究分担者はこれらの研究集会などを通じて成果を交換しあっており、来年度へ向け、報告書の構成・内容が議論されている。
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