研究概要 |
以下の項目について重要な発展があった.また,本研究計画の最終年度にあたる本年度は,研究全体を統括する報告書を作成した. 1.高密度部分電離プラズマの相転移と輸送特性 巨大惑星内部,白色矮星表面層などに見られるヘリウム,炭素等は,高密度であるため部分電離状態にある.第一に,これら金属・非金属転移近傍にある高密度物質の状態方程式・電離度を,プラズマによる原子レベル浅化/消失,中性原子間分散力の熱増大などを取り入れて求めた.第二に,それぞれの状態での電気・熱伝動係数を,液体水素で見いだされた電子-イオン間強結合効果を散乱に関する位相シフトの方法を用いて一般化し,中性原子による剛体球散乱,熱伝導度における比熱の効果などを取り入れて求めた.第三に,自由電子による光子吸収断面積を密度応答理論を用いて第一原理から定式化し,プラズマ中の光子分散関係を考慮に入れて輻射輸送効率を計算した. 2.超高圧金属中核融合 白色矮星の超新星爆発過程に見られる冷核反応に関する理論解析手法を,地上実験室での超高圧物質へ発展させた.その結果,密度数+g/cm^3,温度数千度の超高圧金属中での核融合は,電子遮蔽冷核反応が真空中の熱核反応率を大幅に上回るため有効なエネルギー解放手段となる可能性があることを見いだした.p-d,d-t,^7Li-p系などについて,反応生成物(He)とプラズマ間の摩擦係数からエネルギーを取り出せる時間を計算し,有効なエネルギー解放に結びつく物理条件の存在を確かめた. 3.高密度クーロン物質のクラスター集合体模型 クーロン・クラスター(粒子数2〜60)の状態方程式・熱的構造安定性を数値実験により解析し,その知見を基にクラスターの集合体として古典一成分プラズマを記述する模型を提案した.
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