この研究はマメ科植物に共生して窒素固定を行う根粒菌の宿主特異性を解明するものであり、平成4年度と5年度に行われた。平成4年度は世界中のさまざまなマメ科植物(約90種)から分離された根粒菌約150株を収集し、これらの系統を16SrRNA配列を分析することにより明らかとした。その結果、根粒菌には17の16SrRNA配列型が存在すること、また根粒菌の系統進化とマメ科の進化は相関していないことなどを明らかとした。平成5年度には茎粒菌の根粒形成に関与する遺伝子を分離することを試みた。遺伝子の分離は茎粒菌の染色体にTn5を導入して変異を作製することによって行った。約260株作製した変異株のうちで8株に変異が確認された。これらの内訳は茎粒形成遅延株1株、茎部の不定根の以上な成長が見られる株2株、茎粒は形成するが根粒が形成されないもの5株であった。また、既知遺伝子との相同性に基づいてnodM遺伝子領域が分離され塩基配列が決定された。その他、マメ科植物の遺伝子分離のためタギング法を確立するため、ダイズ、ミヤコグサ、アルファルファ、クローバー、エビスグサなどの複数の品種を用いて、組織培養と再分化能が検討された。
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