研究課題/領域番号 |
04455012
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研究機関 | 東亜大学 |
研究代表者 |
堀内 孝 東亜大学, 大学院・応用生命科学専攻, 教授 (10201758)
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研究分担者 |
土肥 健純 東京大学, 工学部・精密機械工学科, 教授 (40130299)
尾崎 正〓 東亜大学, 大学院・応用生命科学専攻, 教授 (00039588)
松下 雪郎 東亜大学, 大学院・応用生命科学専攻, 教授 (70027176)
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キーワード | 臓器保存 / 体外治療 / 常温灌流 / 核磁気共鳴 / 拍動流 / 定常流 / 結合水 / 自由水 |
研究概要 |
昨年度までに製作したハードウエアを摘出腎臓に用いるためには腎臓の持つ制御アルゴリズムをソフトウエア上に反映させなければならない。今年度は、主にソフトウエア開発のための基礎研究ならびに、無侵襲活性測定の開発について研究を進めた。 1.ソフトウエアの開発のためのデータベースの構築 灌流方式として定常流と拍動流の2方式から選択可能なin situ灌流保存のため灌流計測・制御システムの試作を行った。模擬実験回路を作製し、システムの灌流特性として灌流量、灌流圧、拍動数の評価を行った結果、手動またはパソコンによる制御により、ラット腎灌流に必要となる流量範囲での灌流制御を行うことができ、制御値と灌流量の比例関係が確認できた。本システムを用いたin situ灌流保存実験では、灌流圧の目標値120、145、195mmHgに対して定圧制御を行い、2時間の灌流を通して灌流平均圧をほぼ目標圧に維持することができた。また、灌流方式では拍動流が定常流に比べ、灌流量、尿の生成量、糸球体濾過量、尿の濃縮機能等においてより良い傾向を示した。しかし、in situ灌流保存中においても酸素消費量が低下するなど全体として腎機能低下の兆候がみられ、カニュレーション操作などの外科的侵襲や機械的灌流による組織障害に起因する血管収縮性物質の分泌、それによる血流のバイパス等が示唆された。 2.無侵襲活性測定としての核磁気共鳴法の応用 保存臓器の状態が水分分布の経時的な変化としてとらえられるものと仮定し電機インピーダンス法等によって計測を行っているが、電極の固定とその侵襲性が問題とされていた。そこで、核磁気共鳴法の無侵襲性に着目し、その縦緩和時間とプロトン密度により保存臓器の水分存在状態の測定を行うことを試みた。実験では磁場強度0.5Tの超電導磁石型MRI測定装置を使用し、生理食塩水、Euro-Collins浸漬群間の比較及び比重測定法との比較を行った。生理食塩水浸漬例では1時間後と10時間後の水分量で10%の増加を示したが、Euro-Collins液では6%程度の減少がみられた。一方、結合水比については生理食塩水例で減少、Euro-Collins液では増加を示した。組織の比重との相関も良く(r>0.8)、臓器内水分状態を無侵襲で経時的に測定できることが明かとなった。
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