研究概要 |
オーキシンを含むMS培地で培養したポプラ培養細胞からキシログルカナーゼを精製した。キシログルカナーゼ粗酵素液は、硫安で沈殿させた後、イオン交換(DEAE-トヨパール)、疎水クロマト(Butyl-トヨパール)、ゲル濾過(Superdex G-75)およびイオン交換(MonoQ)により、SDS電気泳動により単一バンドを与えた。得られたキシログルカナーゼの分子量は50,000、pIは5.5であった。この酵素は、カルボキシメチルセルロースやリン酸膨潤セルロースをよく分解し、キシログルカンに対する分解速度は低かった。酵素分子内にSS結合をもち、サブユニットを持たない。キシログルカナーゼのN末端配列を読み取るために、SDS電気泳動後、ブロッティングを行い、メンブランに結合した酵素蛋白から直接アミノ酸シークエンスを行った。 ポプラ培養細胞由来のキシログルカナーゼ活性は、最適 pH6.2を持ち、カルボキシメチルセルロースなどβ-1,4-グルカンをよく分解した。無オーキシン培地で継代培養したポプラ細胞を1μMオーキンを含む培地で培養すると、Buffer-solubleおよびBuffer-insoluble画分のキシログルカナーゼ活性はともに対数増殖期に高くなり、定常期に減少した。Extracellular画分の酵素は著しく活性が誘導され、定常期になると消失した。これらの結果から、ポプラ培養細胞は細胞の成長にオーキシンを必要とし、またオーキシンによってキシログルカナーゼが誘導されることが示唆された。 キシログルカナーゼのN末端アミノ酸にもとづくDNAをプローブにして、ポプラのcDNAライブラリーから、目的のcDNAを単離した。こcDNAは1,653bpからなり、27アミノ酸残基からなるN末端シグナル配列と467アミノ酸残基からなる酵素タンパクをEncodeしていた。
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