研究課題/領域番号 |
04455020
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
国武 豊喜 九州大学, 工学部, 教授 (40037734)
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研究分担者 |
君塚 信夫 九州大学, 工学部, 助教授 (90186304)
伊藤 明夫 九州大学, 理学部, 教授 (30037379)
浜地 格 九州大学, 工学部, 助教授 (90202259)
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キーワード | 二分子膜 / ミオグロビン / リピドアンカー / シグナル配列 / タンパク集積体 / 配向固定化 |
研究概要 |
本研究の目的は、蛋白質を二分子膜に集積組織化するための二分子膜とタンパク質それぞれの分子設計指針を確立することである。 本年度はそのために、タンパク質への膜結合性シグナルの導入法としてヘム蛋白質の再構成を利用した新しい手法の開発に成功した。即ち、ヘム蛋白質の補欠分子であるヘム鉄にシグナル部分(アルキル長鎖)を共有結合した合成ヘムをアポ蛋白質と再構成することにより、蛋白質の補欠分子(ヘム)部位に特異的にシグナル部分を導入するというものである。 この手法を用いて疎水性長鎖と親水性短鎖の2種類のシグナル部を導入したアンカーミオグロビンの合成を行った。膜との相互作用をゲルろ過・限外ろ過及びケイ光消光法などによって評価すると、この2種のアンカーミオグロビンでは二分子膜との親和性に大きな違いが見られた。即ち疎水性アンカーを有するミオグロビンでは、リン脂質二分子膜との強い親和性が観測されたのに対し、親水性アンカーを有する場合には、天然のミオグロビン同様ほとんど膜と結合しなかった。さらに固定化キャストフィルムでの蛋白の配向を検討すると、疎水性アンカーを有するミオグロビンでは、アンカー鎖を膜に挿入したような配向で固定化されることがわかった。これに対して親水性アンカーは、全く配向制御に効果がなかった。 以上の様にシグナル部分の構造によって蛋白質の膜親和性とともにその配向も制御されることが明瞭になった。来年度はこの知見を基に、より詳細なアンカー部分の構造と膜中での蛋白質配向との対応を調べ、分子設計指針としたいと考えている。
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