研究課題/領域番号 |
04455029
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
荻野 孝史 国立精神・神経センター, 神経研究所, 室長 (50185526)
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研究分担者 |
矢野 登志雄 国立精神, 神経センター・神経研究所, 研究員
杉田 秀夫 国立精神, 神経センター, 総長 (80009951)
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キーワード | phosphorus / NMR / 2テスラ / ヒト / 骨格筋 / 運動負荷 / 筋繊維型 / 適応能力 |
研究概要 |
本年度は、初年度に確立したヒト下腿筋負荷実験用非磁性エルゴメータと^<31>サーフィスコイル・プローブで構成される実験系を用いて、運動トレーニング・脱トレニーングが骨格筋代謝に及ぼす影響を以下の観点より検討した。【.encircled1.】筋断面積の変動、【.encircled2.】負荷により観測されるpHの異なる3つのPi(無機リン)の所属する代謝コンパートメントの変動、【.encircled3.】ヘモグロビン/ミオグロビンの酸化・還元状態による磁化率変化を反映すると考えられる共鳴周波数シフトの変動、【.encircled4.】PCrの減少-回復を指標とする有酸素的代謝能力の変動。対象は運動習慣のない健常男子被験者(30歳)である。トレーニングは立位での両足かかと上げ運動2Hz×3分および自転車エルゴメータによる脈拍管理運動(140bpm・80cycle×10分)の1日1セットずつであり、これを4〜5日/週、12週間行わせた。NMR測定には2テスラヒト全身用NMR装置を使用し、^1HMRIと^<31>PMRS測定をトレーニング開始前、開始後4、8、12週、そして中止後4週に行った。測定時の運動負荷は右足間接の底屈を6kgの負荷量・2Hz×2分間とした。スペクトル解析にはNMR1プログラムを用いた。トレーニングにより腓腹筋の最大横断面積は増加し、トレーニング中止後元に戻った。Piの共鳴線は運動負荷によりpH7.0〜7.1(H)、6.3〜6.5(M)、6.0〜6.1(L)と算出される3つの成分に分裂する。それぞれの信号面積強度の相対的大きさはトレーニングによりL成分の低下ないしH、M成分の増大が見られ、トレーニング中止後元に戻った。運動負荷による共鳴線の低磁場シフトの大きさもトレーニングにより増大した。PCrの回復速度はトレーニングにより増加する傾向を示した。以上の結果は、運動トレーニングによって腓腹筋の酸化的代謝能力が向上したことを反映するものと考えられる。
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