研究課題/領域番号 |
04508002
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研究種目 |
試験研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生体物性学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
木下 一彦 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30124366)
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研究分担者 |
森 基 シグマ光機(株), 技術部, 取締役部長
植竹 敏文 (株)オリオンレンズ設計, 代表取締役
平野 憲一 浜松ホトニクス(株), 筑波研究所, 研究員
宮田 英威 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (90229865)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | 蛍光顕微鏡 / 無蛍光化 / 蛍光偏光イメージング / ミオシン / アクチン / ロ-ダミン / 回転イメージング / 蛋白質構造変化 |
研究概要 |
本研究は、蛍光色素1分子を連続的に観察できるような超高感度顕微鏡システムを試作することを目的として開始した。蛋白質、核酸などあらゆる生体高分子は蛍光色素で標識できるから、生体機能を分子レベルで理解する上での非常に強力な手法となると期待できる。生体分子1個1個の振る舞いを、分子を生かしたまま(固定したり凍らせたりせず)、リアルタイムで観察しようとするものである。 我々は、汎用性を考慮して市販の蛍光顕微鏡の光学系(エピ照明)をなるべく生かした1分子イメージングを試みた。問題は、当時の蛍光顕微鏡がそれ自身強い蛍光を出してしまうことにあった。背景光低下のために、まず、励起光が顕微鏡鏡体内で散乱されないよう、余計な励起光を顕微鏡外に導いた。さらに、励起光が対物レンズ基部で散乱されるのを避けるため、励起光の径を絞った。これらにより二桁の背景光低下に成功し、最終的にロ-ダミン1分子の水溶液中での実時間イメージング(毎秒30駒)に成功した。 当初よい市販の対物レンズがなかったので、無蛍光対物レンズの自作を試みた。あらゆる材質を吟味した上で、水浸対物レンズを試作したが、加工性の問題により完璧なものができなかった。背景光に関してはその後市販された対物レンズよりも低かったが、信号/背景光比の点で市販品のベストなものに比べて劣った。現在は、市販品を用いている。 蛍光色素1分子イメージングは、1分子からの蛍光を縦・横両偏光成分に分離して1分子の向きを実時間測定できるところまで来た。直径たった10nmのアクチン線維が線維軸の回りを回転する様子をビデオテープに収めることができた。回転の実時間測定ができたことは、蛋白質1分子の構造変化(必然的に向きの変化を伴う)の実時間測定への道を開くものである。
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