研究概要 |
本年度は,前年度に引き続いて、動物実験用オペラント箱、実験制御システム、メタノール暴露システムの改良と、当初の計画通りフリーオペラントでのレバ-押し行動の形成、位置記憶課題での反応形成過程を見た。居住型のオペラント箱における24時間連続レバ-押し反応が、実験箱内部が照明される頃から2、3時間の一日の狭い範囲に分布することを前年度に調べたが、。反応の分布は、毒性物質の慢性暴露によって拡散する傾向があるこがわかった。しかし、毒性があると考えられるエタノール蒸気の急性暴露では、レバ-押し反応の回数及び分布は、非暴露条件と同様に安定しており、条件づけられた反応が、低濃度の毒性物質の暴露によって影響されないことがわかった。 2つのレバ-を交互に押すという位置記憶課題では、反応頻度の安定している急性暴露条件下で交代に乱れが生じ、いわゆる正確さに問題が生じることが示された。しかし、慢性暴露条件下では、反応の分布が拡散するが、特に正確さに影響することはなく、ゆっくりと正確に交代反応が行われた。 今後、急性暴露においては、清浄空気を暴露するベースライン条件との差を明確にするため、濃度条件をより細かく設定して調べる予定である。また、慢性暴露条件でも、同一個体での長期の暴露条件の交代を行い、ベースラインと差を明確にする予定である。
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