研究課題/領域番号 |
04551005
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
飯高 京子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40014716)
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研究分担者 |
伊東 久美子 東京職業訓練短期大学, 講師
荻野 美佐子 上智大学, 文学部, 助教授 (70185528)
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キーワード | 動作語の習得 / 学習ソフトの開発 / 学習実験 / 健常幼児 / 発達遅滞児 / 母子交流場面 / 言語モデル / 縦断調査研究 |
研究概要 |
母子交流場面の縦断研究では、母親の言語モデル、具体的演示、幼児の運動操作能力の成熟度、動作語の理解やその習得過程などについて検討を続けた。これまでの結果より母親は、幼児の発達に応じて言語刺激を変化させ、幼児の反応もまず操作する対象(例:ボール)の命名から、その状態の表現(例:ポーン、コロコロ)へ、次いで動作語(例:ボールポーン、投げる、転がす)の使用へと発展した。一方、動作語の習得が遅れている精神遅滞児に対し、ボール投げ遊びを導入し、かけ声や擬態語を使用しながらやりとりをした。活動後の対象児の評価では、末使用動詞の自発的使用が見られ、動詞の習得過程における動作体験の重要性が示唆された。 動作語ソフト作成については、「切る」「破る」の2語の動作について、学習用とソフト用のソフトを作成した。作成に当たって1つの動作につき2通りの視点(動作者とおなじ視点と、対面する視点)と、動作対象の教材を5種類組み合わせて、ビデオ撮影し、その映像を基にアニメーションも作成した。動画およびアニメーションの刺激をランダムに提示し、学習用ソフトには学習時間や回数、テスト用ソフトには反応の正誤を記録させた。これらのプログラムを3-5歳の健常児と精神薄弱および情緒障害学級児童に実施した結果、動詞を分化して学習しつつある段階の4歳代の健常児や、精神年齢がほぼ等しい発達遅滞児に学習効果が認められた。特に、その発達段階にある精神遅滞児は、意欲的に取り組んで学習した。本システムでは、モニタ表面にタッチパネルを装着し、被験児が画面を指しながら学習するように意図されていた。しかし、児童は何度も画面をさわり、誤動作になることもあった。また、学習時間が長引くと、集中度が低下した。今後、前者については、誤動作を防ぐ対策を、後者についてはもう少し遊びの要素を取り入れたソフトに改善していきたい。
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