平成4年度の計画は 1.できるだけ多くの樹種について資料および木材を収集する。 2.それぞれの樹種について顕微鏡標本を作製し、光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡により木材組織を観察し、特徴項目を抽出する。同時に写真を撮り、画像処理装置により画像ファイルを作成する。 3.木材の組織形態的な特徴を顕微鏡写真や模式図で表現した画像データをディスプレイに表示するためのモジュール(プログラムの集合)の作成。 4.画像処理装置による木材の比重、単位面積当りの道管の分布数、道管径の測定法を確立する。 5.市販のエキスパートシェルの内容と機能の検討。 6.プロトタイプのエキスパートシェルの開発。 であった。 1については針葉樹材・広葉樹材合わせて220種ほどの木材を収集した。日本産有用木材のほとんどを網羅している。2については約100種の顕微鏡標本(永久プレパラート)を作製、樹種識別に必要な検索項目となる特徴項目は針葉樹で45、広葉樹で85項目を抽出した。画像ファイルについては写真をイメージスキャナにより取り込んだデータをファイル化する技術的な問題は解決した。3については画像データをパソコンで処理し、顕微鏡写真をディスプレイに表示するプログラムを完成させた。4については装置の関係で完全には出来なかったが、予備実験で計測が可能であることを確認した。5については市販のエキスパートシェル「大創玄」を検討し、プロトタイプのエキスパートシステムを構築した。6についてはスプレッドシート(表計算ソフトウェア)をエキスパートシステム構築ツールとして使用しその有用性を確認した。
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