研究課題/領域番号 |
04554006
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
釜江 常好 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90011618)
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研究分担者 |
池田 博一 東京大学, 高エネルギー物理学研究所, 助教授 (10132680)
高橋 忠幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50183851)
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キーワード | ガンマ線天文学 / ASTRO-E / 放射線計測 / 無機シンチレータ / 波形弁別 / YAP / GSO / BGO |
研究概要 |
数10keVから数100keVの間の硬X線あるいはソフトガンマ線とよばれる波長域は、これまでNaI(Tl)などの無機シンチレータによる検出器が主に用いられていた。この場合、低いエネルギーでエネルギー分解能が悪くなるという欠点が、また衛星環境で用いる際にはNaI(Tl)の構成物質であるヨウ素の放射化により、本来の性能を出せないという欠点があった。数keVから数10keVまでの検出器としてはガスプロポーショナルカウンタが良く使われるが、数10keVのX線に対しては検出効率が低くなるため適していない。本研究では高純度、高比抵抗のシリコンの素材を用い、従来の数倍の厚みをもったシリコンPINダイオードを低エネルギー側の、特別に高純度の素材で作った新しい無機シンチレーターを高エネルギー側の検出器として用いる複合型の硬X線検出器(井戸型フォスウィッチカウンタ)の開発を行っている。開発には浜松ホトニクス、日立化成などの国内メーカーの他、海外の研究所も含めた幅広い分野の協力を得ている。現在以下のような成果を得ている。 (a)当初ベラル-シュから入手していたYAP(Ce)には^<144>Ndと思われる放射性不純物がかなり含まれていたが高純度酸化イットリウム(純度5N)を国内で入手し、ベラル-シュに送りYAP(Ce)を製作してもらったところこの不純物を10分の1以下に低減することが出来た。 (b)ステンレススティールで3mm×3mm×100mmのコリメーターの試作をしたのち、燐青銅を用い実際に使われる30cmの長さ、開口角20分のコリメーターの製作をおこなった。 (c)YAP(Ce)をPMTに直接接着したばあい、662keVで5.8%前後のエネルギー分解能を得るところまで改良できた。 (d)理化学研究所のリングサイクロトロンの陽子ビーム(約100MeV)を使って放射化の実験を行い、YAP(Ce)は50keVから500keVの範囲内で長寿命の放射性同位元素の影響がNaI(Tl)に比べ数分の1であることを確認した。 (e)時定数の異なる波形整形 これまでにアンプの出力の波高値を比較する方法として採用したVLSIを、日電の協力を得て試作した。これを実験室でいろいろな評価をした。衛星塔載用としての試作第2号を富士通の協力を得て製作中である。
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