研究概要 |
初年度は位相共役顕微システムを試作するための準備研究として次の項目を実施した。 1.チタン酸バリウム(BT)および鉄添加ニオブ酸カリ(KN)からセルフポンプ法で発生する位相共役波の発生条件を系続的に評価した。結果は以下の通り。 BT,KN共位相共役波反射率は30%を越え,顕微システムとして十分使用できることが明らかとなった。また位相共役波の応答時間はBTで最も早い時10msであった。KNはこれよりはるかに遅い。反射率,応答時間共に結晶の入射位置,入射角度,入射強度および入射偏光に著しく依存すること,また使用するレーザー光の横モードがマルチの時には,不安定を示し,特にはカオス的となることを明らかにした。又これらの条件によっては,パルス状の発振現象も発現する。これらのシステマチックな測定の結果,位相共役顕微システムとして最適な条件を決定できた。 2.位相共役顕微システムの組立て これらのフオトリフラクティブ結晶からの位相共役発生の評価結果に基づき,顕微システムを組み立てた。BTを用いて,観測対象物として,位相を空間的に変調させたポログラム板を用い,これをピエゾ駆動させた。静止しているときは視野には何も見えないが,これを定速度で動かすと,動いている時間内にのみ,ホログラムパターンが鮮やかに視野の中に出現した。このようにして未だ予備的な実験ではあるが,位相顕微システムとしての機能である,「動いている物体のみを見る」ことは成功した。 これらの研究成果を踏まえて,次年度は顕微画像の向上をはかる予定である。
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