研究課題/領域番号 |
04554010
|
研究種目 |
試験研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
薮崎 努 京都大学, 理学部, 教授 (60026127)
|
研究分担者 |
高橋 義朗 京都大学, 理学部, 講師 (40226907)
水崎 隆雄 京都大学, 理学部, 助教授 (20025448)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1994
|
キーワード | 超流動ヘリウム / レーザー分光 / アルカリ原子分子 / 光ホンピング / 磁気共鳴 / 偏極水素 / ボ-ズ凝縮 |
研究概要 |
超流動ヘリウム中に中性原子や分子、イオンを注入できればそれらの粒子は気体、固体や通常の液体中とは全く異なったエネルギー構造、ダイナミックスを示すことが予想され、また多くの基礎科学への応用の可能性が高い。しかし、特に中性原子や分子の液体ヘリウムへの注入が困難であり、実験的には殆ど研究が成されていなかった。我々は、この困難を乗り越えるべくレーザースパッターを利用し、多くの種類の粒子を高密度で注入できる方法の開発を行い、これに成功した。本研究で特に関心を向けたのは簡単なエネルギー構造を持つアルカリ原子である。その結果、CsやRb原子の光学的スペクトルを初めて観測する異に成功し、それらのスペクトルのシフトが球形の原子バブルモデルにより良く説明できることを明らかにすることができた。更に、観測されたスペクトルの形から、原子の周りのヘリウムの分布が四重極振動をしていることを見いだした。また、軽いアルカリ原子では微細構造準位間の混合により電子の角運動量状態が重い原子と異なり、そのために消光やエネルギー準位の大きなシフトをもたらすことがわかった。我々は、更に円偏光レーザー光を用いた光ホンピング実験を行い、原子を完全にスピン偏極する事にができ、磁気共鳴、超微細構造共鳴の光学的観測にも成功し、g-因子、超微細構造定数の測定をする事ができた。得られたこれらの物理量の値は原子バブルモデルによる理論で説明することができた。本研究では、更に、超流動ヘリウムの表面に偏極された水素原子を吸着させる研究をも行った。水素原子の化学反応により分子が生成されるが、これらの分子はヘリウムの表面で反射し大きな加熱をもたらさないことがわかり、ボ-ズ凝縮実現に非常に近い密度の2次元偏極水素を作ることに成功した。
|