研究課題/領域番号 |
04554013
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
大江 昌嗣 国立天文台, 地球回転研究系, 教授 (00088783)
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研究分担者 |
花田 英夫 国立天文台, 地球回転研究系, 助手 (60132677)
笹尾 哲夫 国立天文台, 地球回転研究系, 教授 (20000177)
川口 則幸 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (90214618)
久慈 清助 国立天文台, 地球回転研究系, 助手 (40132675)
河野 宣之 国立天文台, 地球回転研究系, 教授 (10186116)
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キーワード | 相対VLPI観測 / 月の物理秤動と潮汐 / 月面電波源 / 大気ゆらぎの効果 / 月周回衛星 / 放射パターン |
研究概要 |
月の物理秤動や潮汐の振幅を高精度に決めることを目的とした、月面上に設置できる、相対VLBI観測用人工電波源の開発を進め、平成5年度までに、2.2GHz発振器、電源部、タイマー、アンテナの全システムを制作し、衝撃試験、室内実験等を行い、月周回衛星から投下されるときに受けることが予想される。10000g以上の衝撃に耐え、10^<-6>以下の周波数安定度を持つこと等、の性能を確認した。今年度は、電波源が実際に月面に設置されることを想定し、月面上の表層物質(レゴリス)と電気的に同等な性質を持つ疑似砂を用意し、それに、深さやアンテナの角度を変えながら電波源を埋設し、数メートル上空での電波強度を測定する実験を行った。その結果、埋設深度が電波の1波長以上になると、電波の放射パターンが、真空中でのパターンと大きく異なり複雑になる。アンテナ表面に直接、疑似砂やアンテナ面保護用のテフロン板を密着させると、誘電率の不一致により、偏向、反射等の影響で、アンテナ放射パターンを大きく乱し、減衰も大きくなること等が明らかになった。これらの実験を通して、地球に必要な強度の電波を送信するために満たすべき、電波源の月面への設置条件が実験的に求められた。今回の実験は、50cm立方の、波長に比べて充分には大きくない砂箱を用いて、放射パターンの測定実験を行ったために、アンテナの埋設深度が深くなると箱の影響が無視できなくなった。今後は、電波暗室を用いて、実験の精密化を行う必要がある。また、減衰を大きくしないアンテナ保護板、砂の誘電率を考慮したアンテナの開発等は、今後の課題として残された。
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