研究概要 |
回転共鳴法:回転共鳴からの原子間距離の算出と基礎となる測定試料として、^<13>C標識レチナールの調製と、測定の基礎となる化学シフトテンソルの異方性に関する情報を得るための実験を行い、タコロドプシンへの再構成実験の試みを行った。 回転エコー二重共鳴法(REDOR):手法解析の基準データとするべく、第一に小分子でかつ単純な系でもある^<13>C,^<15>N二重標識グリシンならびに、これをリガンドとしてカドミウム、亜鉛錯体を合成し結晶化を行った。^1H,^<13>C,^<15>N三重共鳴実験でそれぞれ^<13>C、^<15>N NMRのREDOR効果の評価から目的とするC-N原子間距離測定をおこなった。すでに測定データが存在するX線回折による値と比較して妥当な原子間距離に関する情報を得た。さらに、より一般的なタンパク質の三次元構造の解析法へと発展させるため、種々のアミノ酸残基を安定同位体で標識した生理活性ペプチドを合成し、上記の方法で求めた選択的な原子間距離情報をもとにした解析法として完成しつつある。 双極子分裂の直接観測:Gly-Pro-D-Leu-[^<15>N]Glyにおける末端残基における正確なN-H原子間距離を2次元局所双極子磁場分離NMR法により測定し、X線回折では測定が困難なその距離を1.01Aと正確に決定することができた。ここに得られた原子間距離とNH..O=C水素結合系における水素結合の強さとの相関を得るべく、関連したペプチドに関してすでにわれわれが得ている値と比較し、このような測定が水素結合系の研究に極めて有用であることを明かにすることができた。
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