本年度の研究目標は(1)複光路方式、新たなレーザー光源の導入による測定システムの改善、(2)スパッタ法による高感度導波路の開発、(3)フローシステムにおける検出器としての応用の3点であった。それぞれに関する進捗状況は、以下のとおりである。 (1)複光路方式の導入に関しては、予備的な実験を行い、その有効性が確かめられた。また、新たにグリーンHe-Neレーザー、アルゴンイオンレーザーなどを導入し、適用範囲が広がるとともに、フローシステムの実験に実際に適用した。今後、光源光と導波路の結合について、特に検討する予定である。 (2)スパッタ装置の導入の遅れと、マイナーな技術的問題のため、現在、その成果は得られていない。今後、早急にこの問題の解決を計り、導波路の作製と評価を行う予定である。 (3)この分野に関しては、研究の進展が見られた。まだ、オクタデシルシラン修飾光導波路を用い、[Fe(phen)_3]^<2+>錯イオンと陰イオン界面活性剤とのイオン対形成を利用することにより、Fe(II)イオンの高感度検出が可能であることを示した。また、カリウムイオン交換光導波路を、高分子フィルムで被い、フィルム中にpH応答色素と相関移動触媒を担持させることにより、二酸化炭素センサーを構築することができた。今後、さらに実用化のための検討を行う予定である。また現在、直接光導波路上に化学結合により機能性物質を導入する試みを検討中であるが、具体的な成果を得るまでには至っていない。
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