1.高感度なスラブ光導波路の作製 RFスパッタリング法により、基板を石英ガラスとして、導波層をコーニング7059ガラス、アルミナ、酸化タンタルとする光導波路の製作を行い、その吸光セルとしての評価を試みた。その結果、それぞれ、これまで使用してきた熱イオン交換による導波路に比べて10倍程度高感度な導波路が得られた。このうち7059ガラス導波路を鉄(II)イオンの検出に応用したところ、従来法に比べて10倍感度が上昇した。しかし、光減衰率がやや大きくこの改善が今後の課題である。また、導波路設計用計算プログラムを作成し計算を行った。その結果、当初計画になかった方法であるが、ガラス薄板(20〜200μm)を導波層に用い、空気をクラッドとして、臨界角付近の光を導入することにより、非常に高感度な導波路が得られる可能性が示唆された。そこで実際に実験を行ったところ、実効光路長が30倍(熱イオン交換型導波路比)を得ることができた。現在、さらにその吸光セルとしての特性を検討中である。 2.スラブ光導波路の表面化学修飾法の検討 Self Asembled Monolayerの生成を試みた。オクタデシルシラン(ODS)単分子層の作製を検討したところ、接触角の測定から単分子膜の生成が確認された。これを流れ分析の吸光センサーに利用し、メチレンブルーの吸着挙動の検討に利用したところ、ガラス導波路に比べて吸着挙動に変化が生じることがわかった。今後、さらに官能基の導入に応用する予定である。
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