本研究は近赤外・赤外領域の発光およびその時間分解スペクトル測定のための装置を作成するに際して問題となる点を明らかにすることを目的とした。 近赤外領域のルミネッセンスを測定するために、これまでの感度では十分でないことが明らかになり、そのための検出器の増幅率を上げた。 また近赤外領域から可視部領域の広い範囲を測定するためにピンホトダイオードを検出器として装置に組み入れた。これらの時間分解能はそのダイナミックレイジから目的に十分耐え得るものであった。 ルビーレーザー用ロッドおよびNd^<3+>ガラスをArイオンレーザーデ照射して発光スペクトルを測定した。それゾれ694nmと1064nmに現われるメインピークは測定することが出来るが、その長波長および短波長側に現われる小さな振電バンドは、FT-IR装置では観測されないことが明らかになった。分散型の分光器を用いると振電バンドが観測されることから、エミッション測定のためには現在のフーリエ変換プログラムの改良が不可欠であることがわかった。また、これは全波長領域で非常に線幅の狭いシグナルだけした現われない場合に問題があることを明らかにした。しかしながら、分解能がよく、容易に線幅の狭いスペクトルが得られ、希土類イオンの発光スペクトル測定にマイケルソン型干渉計を使用することは最適であることがわかった。 また干渉計への入射光学系によっては正しい発光スペクトルが得られない場合があり、光学調整が分散系に比べて非常に大切であることが明らかになった。現在これらの問題点を解決すべく、外部入射光学系の設計プログラムの点検等を行なっている。
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