研究課題
試験研究(B)
過去2か年の研究の成果を踏え、所定の研究計画を鋭意実施することによって、下記の成果をおさめることができた。1.ニワトリについて平成4年度内に開発され確立されていた受精卵の完全体外培養技術を、実験材料として非常に優れ国際性も高いウズラに適用することを目的として、方法に検討を重ねた。その結果、濃厚卵白を卵細胞から取り除き、開発したプラスチック製特殊コンテナ-を用いて、軟卵白で培養することにより、25%以上の高効率で成体にまで育成できるウズラ受精卵の完全体外培養法を確立することに成功した。ウズラ受精卵の体外培養技術は、平成5年度内にその大要が開発されてはいたが、困難であった濃厚卵白除去の問題を解決することによって完全となった。2.上記のウズラ受精卵完全体外培養法により、アクチン遺伝子をはじめ数種のマウス遺伝子のウズラ個体への導入を試行し、胚体内で均一にしかも効率的にそれらを発現させることに成功した。3.前年度に引き続き、卵黄が極端に多量で透明性の無い大型の鳥類卵の核に効果的に遺伝子DNAを顕微注入する技術及び、DNAとインテグラーゼを混合注入することで、導入すべき遺伝子の宿主ゲノムへの組み込みの効率を高める方法に検討を加え、マウスの場合と同等かそれ以上の効率で、DNAを顕微注入するための基礎技術を確立することができた。これらの成果は、平成5年度内までに得られた成果に加え、鳥類トランスジェニックシステムを確立するために充分な基礎技術として評価できると共に、国際的にも盛んにおこなわれているニワトリとウズラの種間キメラによる発生研究の将来にも、大きく貢献することが期待される。
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