研究分担者 |
土屋 洋一 千本電機株式会社, 技術部, 部長
安間 恵 川崎地質株式会社, 海洋調査部, 部長
三瓶 良和 島根大学, 理学部, 助手 (00226086)
高安 克己 島根大学, 汽水域研究センター, 教授 (00127490)
大西 郁夫 島根大学, 理学部, 教授 (40032445)
|
研究概要 |
中海の湖底表層の“浮泥"については浚渫跡の凹地での記録を比較すると,底質探査装置SH-20型では,アトラスデソ20で得られる湖底面の上に,もう1つの弱い反射面が認められ,浮泥層の存在を捉えていることがわかってきた。これらの原因は使用する周波数と波形によって起こることなので,これらを適当に変えることによって,より鮮明に浮泥層を捉えることができるという予測のもとに,千本電機株式会社において既存の機器を改良することによって浮泥層の音波探査法の開発を目的として調査を実施した。その結果,浚渫跡地では浮泥層が堆積している状況が鮮明に捉えられた。それらは浚渫跡の地形面に沿った形で分布している。浚渫していない湖底面上にはこのような浮泥層は認められないので,それらが湖底面に沿って移動し,凹所に堆積することを示唆している。また,新たに改良した音波探査機によって従来SH-20型で水中に認められる反射面を鮮明に捉えることに成功した。この音波探査の反射面と塩分躍層の深さを比較すると,両者がほぼ対応していることが明らかになった。とくに浚渫跡の凹地で明瞭である。水温躍層は塩分躍層とほぼ一致していて,この季節にはより深い所で水温が高くなっている。音波探査の反射面は音響インピーダンスの差によって起こるので,同じ深さにある水温躍層は反射層をより不鮮明にする効果があると考えられるが,塩分躍層による密度変化が大きく,このような反射面が認められるといえる。水質,とくに塩分濃度の変化する深さと良く対応することが明らかになり,塩水楔の形態が捉えられることがわかったのは大きな成果で当初の目的が達成される見通しが得られた。次年度には広域の分布や季節変化等を検討する必要がある。
|