研究課題/領域番号 |
04555011
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
豊岡 了 埼玉大学, 工学部, 教授 (90019753)
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研究分担者 |
長野 主税 オリンパス光学工業(株), 光学技術部, 課長
門野 博史 埼玉大学, 工学部, 助教授 (70204518)
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キーワード | 位相差顕微鏡 / 液晶位相変調素子 / 生物細胞 / ネマティック液晶 / 強誘電性液晶 |
研究概要 |
本研究の目的は、従来の位相差顕微鏡の位相板に替えて、自由に位相を制御できる液晶位相変調素子を設置することにより、生物細胞等の切片の観察において内部構造の分布を高精度に定量的に求めることができる特殊な顕微鏡を開発することで、次の3点に絞って研究を進めた。 1.顕微鏡による実験の準備として二重回折光学系のフーリエ変換面に平行配向のネマティック液晶セルを設置した空間フィルタリング光学系により、2次元位相物体の位相分布の定量化実験を行った。試料の設置から最終的な位相分布の3次元表示法に至るアルゴリズムを確立した。また、周囲温度変化による位相変調量の変動を補正するためのフィードバック法を開発した。 2.液晶位相変調素子の時間応答性を改善するために、応答特性がネマティック液晶に比べて2桁以上速い強誘電性液晶を挿入した位相変調素子を開発した。同時に温度特性をも調べた。その結果、10-25℃で約90°の安定した位相変調特性が確認された。さらに単一電極で3ステップ位相シフトを行うために、3安定物質である反強誘電性液晶の利用を検討し、現在位相変調特性およびその温度依存性に関する実験を行っている。 3.従来の位相差顕微鏡においては対物レンズの射出瞳面上に一体化した位相板を設置する。本研究における試作品においては、種々の位相変調素子を交換できることが必要で、そのために付属ユニットを改造し位相制御部を顕微鏡本体と別の鏡筒に設置する方式を設計し、現在改造品を製作中である。 以上のように、位相変調素子、位相制御部の設計製作、システムの駆動アルゴリズムの検討がいずれも順調に進んでいる。次年度にはこれらの結果を踏まえたシステムとして完成に至る十分な見通しが得られた。
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