研究概要 |
本研究の本年度の目的は,原理的に最高の性能を持つ超並列分光画像システムの実用プロトタイプを試作し,実用性を実証することにあった.具体的には, 1)128×128点の空間画素数と256点のスペクトルチャネル数を持つ分光画像システムを完成させ,約1分以内に物質の識別等の処理が可能なアルゴリズムを完成させること,2)試作したシステムを用いて,分光画像計測実験を通して,ノイズ限界の理論的解析結果の検証,信頼性,処理時間等実用性の評価を行なうこと,3)相関誘起スペクトル変動(Wolf効果)の検証実験を行うことであった. 本年度の研究では,1)約50×50点の空間画素数と約40点のスペクトルチャネル数を持つ多重結像型の超並列分光画像システムを完成させ(第24回画像工学コンファレンスで発表),毎分約1800回転する物体をストロボ光源で照明し,その分光映像を計測することにより,高速移動物体の瞬時の分光映像が可能であることを実証することができた(ICO'94国際会議で発表予定).物質の識別等の処理が可能なアルゴリズムは,自己組織化ニューラルネットワークによるベクトル量子化により実現することを試みた.しかし,88×88画素,48チャネルの分光画像の処理は,2.6時間の時間が必要で,分のオーダーの処理時間は実現できなかった. 2)ノイズ限界の理論的解析結果の実験的検証については,現在,論文を投稿中である. 3)相関誘起スペクトル変動(Wolf効果)の検証実験は,これに必要な高スペクトル分解能システムを試作し,検証実験にほぼ成功している.理論解析結果を投稿準備中であり,この後,実験結果の検討と再実験とを繰り返し,然るべき論文誌に結果を投稿する予定である.
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