研究課題/領域番号 |
04555019
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
加藤 景三 新潟大学, 工学部, 助教授 (00194811)
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研究分担者 |
粟野 満 東京工科大学, 工学部, 教授 (20016009)
南 一男 新潟大学, 工学部, 教授 (00023135)
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キーワード | 酸化物高温超伝導体 / ミリ波 / パルス出力 / スイッチング / 誘電体共振器 / Q値 |
研究概要 |
平成4年度は、酸化物高温超伝導体を用いたミリ波パルス源の開発の準備として、高いQ値を持つミリ波空洞の作製とパルス出力回路部の検討が主な目的であった。そこで、高Qミリ波円筒空洞を得る方法として、両端の円盤部は従来の平板基板上のYBCO超伝導薄膜で構成し、円筒部は誘電体を用い誘電体共振器として働く構造として共振器を作製することを検討した。誘電体として天然石英と合成石英の2種類の材料について、誘電率と誘電体損を空洞摂動法により評価するために、共振周波数24GHzを持つTM_<011>モードの銅製円筒空洞(直径10mm、長さ20mm)を作製した。クライオスタットに装着したこの空洞内に石英(直径2mm及び3mm、長さ2mm)を挿入し、共振周波数とQ値の温度特性を測定した。その結果、誘電率2、誘電体損2.4×10^<-3>程度であった。これと超伝導薄膜を共振周波数24GHzの誘電体共振器に用いた場合、同じ共振周波数を持つ銅製空洞共振器に対して体積が1/3程度で、無負荷Q値が3割程度良くなることがわかった。Q値があまり大きくならないのは、誘電体損が大きかったためである。次に、誘電体共振器からのミリ波パルス抽出についてシミュレーションを行い、空洞共振器を用いた場合と比較検討した。その結果、誘電体共振器を用いて方が空洞共振器を用いたものより大きなパルス出力が得られることがわかった。またQ値はあまり高くないが、共振周波数24GHzを持つTE_<011>モードの銅製円筒空洞(直径15.8mm、長さ23.8mm)を作製し、この空洞共振器を用いて出力回路部の検討を行っている。すなわち、この空洞にレーザアブレーション法によりMgO基板上に作製されたYBCO超伝導薄膜を装着し、空洞のQ値やミリ波透過特性の温度特性を測定し、アンテナ等の調整を行っている。今後、スイッチング特性を評価し、パルス抽出実験を行う予定である。
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