研究課題
前年度において完成した衝突試験機を用いた衝撃圧潰試験を行う際に必要となる光学式変位計およびロード・セルの導入を行った。変位計については、今年度においてコントロール部を購入することにより完備され、荷重計測についてはロード・セルの設計法について検討を行い、既存のものよりも優れた特性を有するロード・セルの製作に成功した。以上により衝突試験システムが完成し、これにより金属および繊維強化プラスチック(FRP)製の薄肉円筒試験片に対して圧潰試験を行った。FRPには軽量・高強度材料として有力な炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の一方向プリプレッグを採用し、繊維配向角を変化させた薄肉円筒を作る方法を考案した。スチールおよびアルミニウムの金属材料ではfoldingによる塑性変形によるエネルギー吸収が支配的であるが、CFRPでは繊維配向角によっていくつかの圧潰モードの出現が認められた。すなわち、漸進的に圧潰が進行してゆくfragmantationモードとsplayingモードや破壊が一挙に進行するshearingモードなどが観察された。同時に試験片のSEM観察によれば、繊維とプラスチックの接着強度や繊維強度がエネルギー吸収に大きく貢献していることが伺われ、これらの特性を引き出すような繊維配向にすることにより、よりエネルギー吸収特性の良い試験片を作成できることが明らかになった。特に圧潰が漸進的に進行してゆくモードではアルミニウムにも劣らないエネルギー吸収性を示し、部材の単位質量あたりのエネルギー吸収では金属材料よりもはるかに高い特性を示す場合があり、特性を向上させるような部材設計の考えられることが明らかになった。
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