研究課題/領域番号 |
04555029
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
材料力学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村上 澄男 名古屋大学, 工学部, 教授 (10023053)
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研究分担者 |
津島 栄樹 東燃(株), CFプロジェクト, チームリーダー
河井 昌道 筑波大学, 構造工学系, 助教授 (90169673)
座古 勝 大阪大学, 工学部, 教授 (40170831)
田中 英一 名古屋大学, 工学部, 助教授 (00111831)
金川 靖 名古屋大学, 工学部, 助教授 (90023481)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | 炭素繊維強化複合材料 / 疲労寿命 / 疲労損傷過程 / 非弾性変形挙動 / 損傷力学的解析 / 多軸繰返し負荷 / 寿命評価 / AE計測 |
研究概要 |
平成4年度から6年度にわたり、炭素繊維強化複合材料の静的ならびに繰返し負荷の下で非弾性変形挙動を明らかにした。特に繰返し負荷における疲労挙動を材料内部で発生するマトリックスき裂および層間はく離に注目して疲労損傷を定量的に評価すると共に、AE信号の周波数分析によって非破壊的に疲労損傷の発生・発展をモニターすることにより、強度・寿命評価システムが開発できることを示した。得られた結論は以下の通りである。 1)主に[±45°]_4薄肉円管試験片を用いて、種々の応力振幅、応力比の繰返し負荷の下での応力-ひずみ関係を明らかにし、繰返し初期における母材の加工硬化過程および末期(N/Nf>0.8)における圧縮応力による巨視的座屈を確認した。この巨視的座屈は層間はく離面積の拡大に起因する圧縮剛性の低下によることが明らかとなった。 2)繰返し負荷による疲労過程で生じる炭素繊維強化複合材料内の微小空隙、特にマトリックスき裂、積層間はく離を光学顕微鏡等により観察し、き裂密度等の観察結果を定量的に評価した。剛性、靱性の低下およびひずみエネルギー損失は材料の力学特性の変化と内部構造の変化(損傷)を反映するが、特に縦弾性係数は損傷状態の推定に用いることができる。 3)これまで提案されていた流れ則に基づいた連続体損傷モデルを修正・拡張し、CFRP薄肉円管試験片を用いて実測した応力-ひずみ関係に適用した。これにより内部損傷の発生・発展を考慮した非弾性構成式により実測結果をよく表現することが明らかとなった。 4)繰返し負荷中に発生するAE信号のパワースペクトルを調べることによって非破壊的にマトリックスき裂、層間はく離あるいは繊維破断等の損傷の発生・発展がモニターでき、これまで明らかにした損傷機構に基づいて残存寿命をより正確に予測することができた。 5)長繊維強化複合材料の損傷機構は非常に複雑であるが、損傷力学の枠組みの中で巨視的な観点から損傷を考慮した非弾性変形挙動の定式化を行った。これらを記述する構成式の材料パラメータは非常に少なく、これらをより普遍的な構成式に拡張することが可能である。
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