研究概要 |
新しいセラミック球の高速鏡面研磨システムを考案し,その量産システムの設計指針を明らかにする事を目的として行われた本研究の,内容及び明らかになった新しい知見は以下のとうりである. (1)昨年度の研究では,セラミック球の高速鏡面研磨システムの設計において,磁性流体中で磁気浮揚している浮子の浮揚力およびその支持剛性を,その研磨が粗研磨かあるいは仕上げ研磨かの目的に合わせて最適値にしなければならない事が示された。そこで,浮子の浮揚力およびその支持剛性を任意に設計するために,磁場をモデル化し,浮子の磁気浮揚力に及ぼす単位磁石幅a,浮子の厚さt,浮子の面積A,磁石から浮子までの距離h,磁石の残留磁束密度Brおよび磁性流体の飽和磁化Msの影響をとりいれた簡便な浮子の磁気浮揚力Fbおよび支持剛性〓Fb/〓hの計算式として次式を導いた。 また、これらの式により得られた計算結果と実験により得られた測定結果を比較したところ,磁性流体中の磁性粒子の凝集が比較的生じないと考えられる磁石から1.5mm以上の領域においては,これらの式によって,浮子の磁気浮揚力および支持剛性が設計可能であることが明らかにされた。この結果を元に,磁気回路および浮子を設計した。 (2)昨年度の研究において,従来のセラミック球の磁性流体研磨と異なり,浮子がテーパー面を有し,駆動軸の端面が平面で,かつ浮子とガイドリングの中心が一致させない新しい研磨方法を提案した。本年度においては,さらに,小さな真球度を得ることを目的として,浮子中心のガイドリング中心に対する偏心量を変化させた実験装置を設計製作し,偏心量を10mm以上にすることで,真球度を0.2μm程度にすることが可能であることを明らかにした。
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