研究概要 |
新しいセラミックス球の高速鏡面研磨システムを考察し,その量産システムの設計指針を明らかにすることを目的として行われた本研究の内容及び明らかになった新しい知見は以下の通りである。 (1)等しい研磨荷重において浮子の支持剛性を変化させることが可能な永久磁石が設計された。これを用いた実験により,浮子の支持剛性が高いほど研磨率と直径不同の減少率が高く,浮子の支持剛性が低いほど直径不同の最小値が低いことが明らかにされた。 これらの結果より,高能率でかつ真円度と表面粗さが小さいセラミックス球を研磨するためには,粗研磨においては高い支持剛性の浮子を用い,仕上げ研磨においては,低い支持剛性の浮子が有用であることが明らかになった。 (2)浮子の磁気浮揚力及びその支持剛性を設計するために,磁場をモデル化した簡便な計算手法を提案した。これにより求められる浮子の磁気浮揚力Fb及び支持剛性〓Fb/〓hは,次式で表される。 ここで単位磁石幅をa,浮子の厚さをt,浮子の面積をA,磁石からの浮子までの距離をh,磁石の残留磁束密度をBr及び磁性流体の飽和磁化をMsとした。 (3)テ-パ面を有する浮子,端面が平面である駆動軸,ガイドリングから構成される浮き子をガイドリングに対し偏心させることができる新しいセラミックス球の磁性流体研磨法を提案した。これにより,この偏心量を大きくすることによりセラミックス球の真球度を向上させることができた。 (4)砥粒サイズの確実な分類により,研磨面における引っかき傷の発生を避けることが可能になった。
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