研究概要 |
平成4年度は超微粒砥石の作成法を確立することに重点を置いて研究を進めた。まず、電気泳動現象のメカニズムを詳細に検討し、超微細砥粒が電極表面で多分子層吸着し,その配列は単純立方格子に相当することが明らかになった.次に、この層中に入れる結合剤を検討し、砥粒とともに一極に電気泳動する物質(高分子電解質、非イオン性高分子)を選定した。次に、電気泳動方式砥石作成装置を作成し、超微粒砥石の作成を試みた.その結果、均質な超微粒砥石が作成できた。 平成5年度は「超微粒砥石の加工性能の評価」を研究の第一目的に置き,多種超微粒砥石の作成を第二目的に置いた. 鏡面研削用砥石として適正な砥石であるか評価するために加工実験を行った.研削実験装置は,現有するマシニングセンタを用いた.その結果,表面粗さでは10nmRmax以下の鏡面が得られることが判明した。また、切屑観察からは砥石の自生発刃が微小単位で均一に生じていることが分かった。加工中、目づまりすることなく継続して鏡面研削が可能であることが判明した。 次に、他の超微粒砥石の作成に挑戦した。その結果、2種類の超微粒砥石の作成に成功した。1つは電荷を有するシリカ砥粒に電荷を有さない高分子(ポリビニルアルコール)を水素結合させて電気泳動法で作成した砥石である。これも鏡面研削用砥石として十分な性能を有することが判明した。もう1つの砥石は電荷を有さない超微細ダイヤモンド砥粒(φ数nm)を電荷を有する高分子電解質で包み、同様に作成した砥石である。この砥石は軸付き砥石として優れた性能を有することが判明した。
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