研究概要 |
1.レーザー粒径センサーとして,ガラスセル利用センサー(透過光と散乱光をレンズにより集光し粒子径を計測する方式)と光ファイバー利用センサー(入射用光ファイバーより放射したレーザー光の透過光のみを受光用光ファイバーで受け粒子径を計測する方式)を試作した。しかし、いずれも潤滑油中の微粒子の計測には不向きであることがわかったので,セルフォックレンズを用いた光学粒径センサー(レーザー光の微粒子による遮断量を計測する方式)を製作した。 2.信号増幅回路と信号解析回路を製作し,光学センサーからの信号を受信しピークホールドして,粒子の大きさに応じて高速で振分け粒子径をカウントできる計測システムを完成させた。 3.イオン交換水に球形のガラスビーズ(粒子径20μmと40μm)を混ぜたサンプル液を循環させて動作確認を行った。その結果,ガラスビーズの粒子径付近にカウント数の最頻値があらわれた。さらに時間経過にともなう計測量の変化などについて検討し,診断システムの信頼性を確認した。 4.軸受合金の黄銅同士の摩耗試験を大気中で行って採取した摩耗粉をイオン交換水に混ぜてセンサーのよる計測を行った。形状が不規則な摩耗粉を光学センサーが正確に測定しているか確かめるため,センサーの後流にセンサーと同じ形状の観察用通路を設け,そこを通過する摩耗粉をCCDカメラとストロボビジョンアナライザーで観察した。その結果,測定結果にはよい一致がみられた。本研究で開発した光学粒径センサーと解析システムは,不定形でサイズも広範囲に分布している摩耗粉に対しても有効であることがわかった。 4.今後解決すべき問題はあるが,試作したシステムを利用すればリアルタイム潤滑管理の診断が可能になるとの確証を得た。
|