研究概要 |
Nd-YAGレーザー(波長1.06μm,出力200J)を用いたレーザー加工により恐らく世界最小噴口径のφ0.06mmのマイクロホールノズルを製作することができた。始めに7-φ0.06mm,1/d=9のノズルを製作し,非蒸発自由噴霧を対象に噴霧特性を調べた。噴霧全体のザウター平均粒径を測定し,φ0.15mm,1/d=4の単噴口ノズルの場合と比較したところ,ほとんど違いは見られなかった。この原因は噴射中に隣同士の噴霧の干渉により,粒子の衝突および合体が生じ,大きくなったと考えられる。従って燃焼実験に用いるノズルでは噴霧相互の干渉が生じないように噴口を配列する必要があることが分かった。また噴霧先端到達距離を測定したところ,マイクロホールノズルの場合は理論通りφ0.15mmの場合の約半分になった。次に急速圧縮膨張装置を用いて燃焼実験を行った。燃焼実験後の噴射量を測定したところ,実験前と比較して約30%程度増加していた。穴あけ加工後の処理に問題があるものと思われる。今後,ノズル材質,穴の加工法および穴の配置を考慮し,加工精度,信頼性および耐久性の高いノズルを製作する予定である。 また高圧噴射系については自由ピストンを利用して,従来型ジャークポンプの3倍以上の速度で燃料を送油管に送入し,流路断面積が流方向に縮小された噴射管によって噴射圧力を増加する新しい概念の噴射系の開発を行った。テストの結果,単発噴射では良好な特性を有するが,連続運転では耐久性に問題があることが判明し,対策を考慮中である。
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