研究概要 |
従来の機械加工では不可能であった直径0.06mm〜1.0mmのマイクロホールノズルの穴あけ加工法を確立したすなわちレーザビームを約20μmに絞り,任意の位置で穴あけが可能な治具にとりつけたノズルの穴あけを行ったのち,加熱により生じたひずみを取り除く熱処理など一連の加工,処理法を確立した. 種々の噴口径及び噴口数に適応可能で,かつ噴射率が可変なスプール加速式燃料噴射システムの試作及び試験を行った.試験の結果,スプールのプレリフトの変更やスプールを短時間に2度加速させることなどによって,初期噴射率が制御できることや,パイロット噴射が可能なことがわかった.これにより,マイクロホールノズルを用いた燃焼試験において,予混合気の形成過程を噴射率によって制御した場合の燃焼に及ぼす影響を調べる手段ができた. 急速圧縮装置を用いて,燃料噴射圧力,ノズル噴口径をパラメータとした単発噴射の噴霧燃焼実験を行った.その結果,マイクロホールノズルと高圧噴射を組み合わせると,すすの生成の少ない無輝炎燃焼が実現すること,小噴口径化は,着火遅れおよび燃焼期間を短縮,燃焼初期の予混合的燃焼の長期化と輝炎の発生時刻の遅れをもたらすことが分かった.さらに,マイクロホールノズルと高圧燃料噴射装置を装着した単気筒直接噴射式ディーゼル機関を用いて燃焼実験を行った.マイクロホールノズルと高圧噴射を組み合わせることにより,着火遅れが短縮し,予混合的燃焼割合が増加すること,すすの排出が特に高負荷で減少すること,NOの排出は全般に増加することを明らかにした.
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