研究概要 |
最初に試作したトライボセンサは,二枚の圧縮型とせん断型圧電素子を導電性接着剤で直列に張り合わせ,一端に対象面上をスライドさせるための接触子を,他端に適当な接触圧を得るための鋼製ウェイトを取り付けたものである。ウェイトは直径が20mmな円筒形状をしており,また圧電素子と反対側の端部はウェイト中を伝播する反射AE波の影響を低減するため拡散用のドーム状の凹部を設けた。さらに,センサからの信号を,オシロスコープを経てパソコン(NEC PC9801)へ転送・分析する特製ソフトウェアの最初バージョンを製作した。 上記のセンサとソフトウェアを用いて,いくつかの研磨紙を対象にして予備実験してみました。計測した信号は非常に複雑でかつノイズレベルが高いので,研磨紙の粗さを正確に見分けするには困難であった。ノイズを減少させるために市販のAEセンサ(エヌエフ回路設計ブロックAE-900S-WB)、及びPVDF(ポリフッ化ビニリデン)圧電フィルムをゴムなどを減衰材料と組み合わせて新しく自作したセンサを使用してみた。また,データ計測及び分析用ソフトウェアを改良し,信号の周波数解析(FFT)を可能にしたと同時に信号のパルス幅とパルス高さを分類できるパルスカウント機能を追加した。 実験では,センサを人間の手で持ち固体(アクリル、アルミニウム、銅、ゴム、紙、コルク)表面を走査させデータを取り,パーソナルコンピュータに送り信号処理をおこなった。始めに得られた信号をFFT解析したところ、材質の違いによって解析結果に若干の違いが見られた。しかしながら,パルスカウントを用いて分析した結果より,材質によって信号のパルス幅及びパルス高さがかなり異なりその有効性が確認された。今後,新たなセンサを考えるとともに、ニューラルネットワークの教師信号として与えるのに適した信号処理方法を考える。また、それによってニューラルネットワークを構築する。
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