研究概要 |
人間の手のもつ感覚には触覚があるが,触覚センサと呼ばれるものはすでに開発されロボットマニピュレータにも導入されている。しかしながら,従来の触覚センサは単に触れたときの圧力や対象物の形状を検知するのみである。人間の手はこれ以外に"なでて"対象物の硬さ,表面状態,材質などを知る触覚機能も有している。 本研究ではセラミク圧電素子を触覚センサとして使用,対象物表面をなでることによって発生する機械的なトランボロジー情報を電気的に測定した対象物の材質を同定するニューラルネットワークを用いたトライボセンサシステムを開発した。 本トライボセンサシステムとしては試料表面の状態を測定する触覚センサ,センサ出力を記憶するデジタルストレージオシロスコープ,オシロスコープよりGP-IB経由で送られるデータの処理をを行うコンピュータより構成されている。センサを手で把持しできるだけ一定の速度と力で,種々の材質の表面をなで,発生する機械的トランボロジー現象を電気的に測定し,得られたデータは量子化ビット数8ビット,4000点のデジタル信号としてGP-IBを経由でパーソナルコンピュータに送られ、ニューラルネットワークを用いて信号処理を行う。さらにニューラルネットワーク認識システムへの入力データとして,本研究で提案した新しい分類法により求められた「パルス総数・最大振幅・交差パルス数」を適用した。本方法を用いることで6種類の材質の合計120個の試料に対して約85%以上の識別率を得ることができ,さらに二段篩選別法により識別率は95%以上と向上させることができた。
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