研究概要 |
本研究は,宇宙機(宇宙ロボット,人工衛星など)の姿勢制御に関するものである。特に平成4年度は微小重力を模擬するために,剛体を6自由度で支える実験機構を設計し,作成した。 これまでは,微小重力を3次元的に模擬するのは難しいので,空気軸受けなどで2次元的な支持装置を作って実験するのが普通であった。そこで,本研究では,特別の創意工夫によって,3次元的に空中に浮遊する物体の模擬装置を開発した。 姿勢についてはジンバルによって3方向に自由に,重心周りに回転できるような構造にし,重心の移動に関しては,水平方向には空気軸受けによって2次元の自由度を与え,垂直方向にはカウンタバランスを備えることで重さをキャンセルした。空気軸受けのための空気は,ボンベを装置に搭載することによってチュウブによる外乱を防いだ。 宇宙機の姿勢制御には,既にCMG(コントロール.モーメント.ジャイロ)やリアクションホイールなどによる方法が用いられているが,本研究ではまったく新しい方法を提案しようとしている。 それは,宇宙機を複数個に分割し,それらをユニバーサルジョイントで結合し,このジョイントには内力が発生できるようなアクチュエータが備えられていて,相対運動を引き起こすことによって全体の姿勢を制御しようというものである。猫が落下する間に体をひねって巧く着地する「猫ひねり」の現象によく似ている。実験装置としては,すばらしいものができあがったので,今後の研究成果も期待できると思っている。
|