研究課題
本研究では、Si集積回路に応用しうる原子層成長技術として、原料ガスの供給を止めることなく高い分圧に保ったまま単分子吸着層を形成し、この吸着層のみをフラッシュランプ光照射による瞬時加熱で分解し、一原子層ずつ成長を可能にするCVD技術を確立することを目的としている。本年度は、高出力キセノンフラッシュ光照射装置を設計・製作すると同時に現有の高清浄枚葉処理式減圧CVD装置に改造を加え、両装置を結合したが、それと平行して、以下のような、実施計画に対応した成果、及び本研究から派生した成果が得られた。1.Siの原子層エピタキシャル成長は、基板表面の不要吸着物を除去するための昇温処理をせずとも、ロードロック室の改造・ガスの導入法の改善等により、基板補助加熱温度385-395℃で可能になった。2.SiH_4雰囲気(分圧300Pa)中でSi基板をキセノンフラッシュランプ光照射(約1msec)を行えば、一回の照射当り、(100)Si基板上では約0.3原子層、(111)Si基板上では約0.2原子層のSiの成長が確認できた。さらに、一回の光照射当りの成長膜厚のSiH_4雰囲気の圧力及びフラッシュランプ光照射繰り返し間隔依存性から、SiH_4の表面吸着がラングミュア形であることを明らかにした。その結果から、一回の光照射での一原子層成長は、SiH_4分圧が数1000Pa以上でなければならないことがわかった。3.580℃で(100)Si上に成長したSiエピタキシャル膜表面は、2x1構造を持つが、395℃で(100)Si上に原子層成長させたエピタキシャル膜の表面は、再配列がほとんど起こっていない1x1構造となることを明らかにした。今後は、高出力キセノンフラッシュ光照射装置を使用して、基板補助加熱の低温化を図り、各種薄膜の原子層成長を研究する。
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