研究課題
本研究の目的は、申請者らが開発してきた瞬時加熱CVD法、すなわち、原料ガスとして最も単純な分子構造で、しかも取扱いが容易なSiH_4、GeH_4を用い、原料ガスの供給を止めることなく高い分圧(数Pa〜数百Pa)に保ったまま単分子吸着層を形成し、この吸着層のみをフラッシュ光照射による瞬時加熱で分解し一原子層成長させることを可能にするCVD装置を開発し、広くSi系極限微細集積回路作製に応用し得る原子層成長技術として確立することである。本年度は、3年計画の最終年度として、これまでの、装置開発と吸着・反応素過程の研究に引き続き、SiとGeとが一原子層単位で制御された多層エピタキシャル成長を実現し、2重障壁共鳴トンネルダイオードを製作して量子効果の発現を観察した。具体的には、1)原子層成長表面の結晶構造に関連して、Si(100)表面のダイマー構造は大気中でも安定に存在し得ることを見い出した。2)Si上へのGeの1原子層成長を275℃で瞬時加熱することにより実現できることを明らかにした。3)Ge上へのSiの1原子層成長を200-300℃での熱分解反応により自己制限的に実現できることを明らかにした。4)Siの1原子層とGeの1原子層を交互に積層したSi_1Ge_1 原子層超格子を障壁層に用いた2重障壁共鳴トンネルダイオードを300℃以下のプロセスで試作し、設計値にほぼ一致する-0.6及び+0.7ボルトで電流ピークを持つ負性コンダクタンス特性を観測した。以上の成果により、デバイス製作に適用可能な原子層成長技術として、本瞬時加熱法の有効性を実証し、本研究を総括した。
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