研究課題/領域番号 |
04555065
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
電子材料工学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
直江 正彦 東京工業大学, 工学部, 教授 (40016465)
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研究分担者 |
松下 伸広 東京工業大学, 工学部, 助手 (90229469)
中川 茂樹 東京工業大学, 工学部, 助手 (60180246)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | デュアルトラック相補型薄膜磁気ヘッド / 垂直磁気記録 / 高密度記録 / 軟磁性薄膜 / 薄膜磁気ヘッド / 巨大磁気抵抗効果 / 微細加工技術 |
研究概要 |
超高密度記録用の垂直磁気記録システムにおいて、従来の単磁極型垂直磁気ヘッドの欠点である開磁路構造を閉磁路構造に替える「デュアルトラック相補型薄膜磁気ヘッド」を提案・試作し、高効率の記録・再生システムの可能性を確認することを目的とした。前年度でヘッド中のコア用の大飽和磁化、低保磁力、高透磁率を有する窒化鉄Fe_xN薄膜の形成に成功している。今年度はこの窒化鉄磁性膜に加えて、Ni-Feと常磁性Co-Cr層を積層した構造を有する薄膜や、Co-Zr-Ta薄膜等の軟磁気特性向上に成功した。またこれらの軟磁性膜については実用上重要となる透磁率・損失分の周波数特性の測定を行い、薄膜ヘッド用コア材料として十分な特性を持っていることを確認し、磁気回路の透磁率向上に目処を得ることができた。またイオンビームスパッタ装置により作製したMRヘッド用のNi-Fe/Cuの多層膜の巨大磁気抵抗効果についても特性改善を行い、室温で16%以上の磁気抵抗変化率を有する多層膜が作製できることや、その磁界感度がFeバッファ層の結晶配向度に大きく依存しており、Fe結晶子の(100)面を配向させた方が磁界感度が高くなるなど、今後の応用にとって重要な知見を得ることができた。一方、実際の薄膜ヘッドの作製については、フォトリソグラフィによる微細加工技術であるリフトオフ法を用いてデュアルトラック相補型薄膜磁気ヘッドの構造に加工することに成功した。このリフトオフ法によって磁性膜、配線膜のエッジ部分が非常に直線性良く加工できることがわかった。このヘッドのインダクタンスは0.06〜0.18μHの値であり、高密度記録領域における高周波での動作において有利となる低インダクタンスが形成されていることがわかった。本方式の原理を確認するための実験を行い、通常の薄膜ヘッドを改造したヘッドにおいて、高密度の記録再生信号が検出されることを確認し、本方式の有効性が実証された。
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