研究課題/領域番号 |
04555066
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小長井 誠 東京工業大学, 工学部, 教授 (40111653)
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研究分担者 |
松本 和彦 電子技術総合研究所, 電子デバイス部, 主任研究官
野崎 真次 東京工業大学, 工学部, 客員助教授 (20237837)
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キーワード | MOMBE / HBT / GaAs / InGaAs / カーボン / 超高濃度ドーピング / トリメチルガリウム / ネオペンタン |
研究概要 |
申請者らは、カーボンがGaAsのアクセプタとして非常に安定なドーパントで、且つ1.5×10^<21>cm^<-3>もの超高濃度ドーピングが可能であることを見い出し、HBTのベース層として用いることを世界に先駆け提案してきた。更に、HBTの更なる高性能化を目指し、従来までのGaAsに加えて、InGaAs、GaAs/InGaAs超格子をベース層に用いる事を提案した。初年度(平成4年度)はHBTの基礎研究を行う目的から、これまで未知であったInGaAsへのカーボンドーピング特性を有機金属分子線エピタキシー法により詳細に検討した。その結果、InGaAs中ではカーボン濃度がGaAsに比較して減少することが明かとなった。これはカーボンとインジウムの結合エネルギーの方がカーボンとガリウムの結合エネルギーに比較して小さいことで説明される。そこで、成長膜中へのカーボンの取り込み量を増加させる事を目的として低温成長法を採用し、InPに格子整合するカーボンドープInGaAsで正孔濃度p=5×10^<19>cm^<-3>のカーボンドーピングに成功した。この値は、InPに格子整合するas-grownのカーボンドープInGaAsとしては世界最高値である。更に、ラマン散乱分光法を用いて、高濃度カーボンドープp形InGaAsの高い正孔濃度に起因する物性を、p形の3元混晶として初めて評価した。また、新しいカーボンソースガスとしてネオペンタン(C(CH_3)_4)を提案し、MBE法によりGaAaへのカーボンドーピングを行った。その結果、良好なカーボンドーピング特性が確認され、正孔濃度p=1.6×10^<20>cm^<-3>のカーボンドーピングに成功した。このような超高濃度ドーピング技術の開発と平行し、全層GaAsから成る、バンドギャップナローイング効果を利用した擬HBT(GaAspseudo-HBT)の提案・試作と静特性評価を行い、良好なトランジスタ動作を初めて確認した。
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