研究分担者 |
鈴木 英男 (株)小野測器, 音響技術研究所, 部長
菊地 義信 筑波短期大学, 情報処理科, 助教授 (20091944)
日比 正史 久留米大学, 医学部, 講師 (40173190)
田中 信三 久留米大学, 医学部, 構師 (90163526)
平野 実 久留米大学, 医学部, 教授 (60080868)
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研究概要 |
音声障害のゆらぎの計測法について多くの知見を得た。まず,従来提案されているいろいろなゆらぎパラメータの物理的意味を,周波数領域で統一的に解釈することを試みた。その結果それらは,基本周期あるいは振幅系列の高域通過フイルタの出力の大きさあるいはパワーを測定していることを明らかにした。さらにその解釈に基づいて,適当な遮断周波数をもつ高域通過フイルタに基づく新しいゆらぎパラメータを考案した。喉頭癌,声帯ポリープ,反回神経麻痺などの患者の音声データベースを用いて従来のゆらぎパラメータとわれわれの新しいパラメータについて,耳鼻科医の聴覚的な主観評価との相関という観点から比較検討したところ,われわれの方が優れていることを示した。また,音声(持続母音)の非定常性を考慮して,複数の定常区間に区分化してゆらぎパラメータを評価することの有効性を明らかにした。さらに,基本周期・振幅系列の自己回帰・移動平均分析によって得られる自己回帰パラメータを用いると,音声障害の性質を効果的に表現できることを明らかにした。 検査装置のパイロットシステムのハードウエアの設計と製作をほぼ完了し,現在テストを行っているが,平成5年4月中には完成する予定である。ハードウエアの制御と音響検査のための信号処理ソフトウエアについては,上述の新しい知見も組み入れながら,現在鋭意製作を急いでいる。これら第1版を,11月米国加州アナハイム市で開催される米国音声・言語・聴覚学会(American Speech-Language and Hearing Association)の年会で発表するとともに,展示も予定している。
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