研究課題
本年度は本研究の最終年で、移動メッセージ通信の特性を室内シミュレーション実験と共に野外実験でも調査し、以下のように更に詳細な実現性の検討が可能となった。(1)耐多重波性が得られる時の無誤り伝送場所率移動メッセージ通信の品質を規定する無誤り伝送場所率は、室内シミュレーション実験により、耐多重波変復調方式(PSK-RZ)が有効な条件で99%以上が容易に得られることが明かとなっている。本年度は、屋外の実験コースで、1kbitsのパケットを128kbps伝送する場合、建物背後でも十分な場所率を得られることを実験的に確認した。(2)耐多重波性が得られない時の無誤り伝送場所率PSK-RZの効果が得られないときには激しいバ-クト誤りを生じるが、この時の場所率を室内シミュレーション実験により求めた。1Mbpsの速度で1kbitsのバケット伝送の時は、場所率は60〜70%程度で、2回送信すれば90%に近い場所率を得られる見通しがある。(3)耐多重波性が得られない時の誤り率多重波の遅延時間がPSK-RZの有効範囲より大きい時の誤り率は、それらの多重波の電力の総和を熱雑音電力と等価であると仮定した場合の誤り率とほぼ同程度であることが、室内シミュレーション実験により得られた。以上の結果を総合して、耐多重波性が得られる条件では全く問題なく、耐多重波性が得られない場合でも、再送信を考慮すれば実用的な無誤り伝送場所率が期待できる。これらの条件を更に緩和する方法として、円偏波は人工遅延ダイヴァシティ方式の研究も行った。
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