研究課題
試験研究(B)
超高速伝送の移動メッセージ通信は、コスト・電波周波数利用効率で極めて優れ、更に人間のプライバシを侵害せず、究極の通信となり得る。その実現に最も重要な要因である無誤り伝送場所率の特性を明らかにするため、室内シミュレーション実験と実伝搬環境での野外伝送実験を含む解析を行い、下記の新しい成果を得た。(1)室内シミュレーション実験と理論解析により、各種の伝搬およびシステムパラメタに対するビット/パケット誤り率と無誤り伝送場所率の一般的な特性と重要なパラメタの影響を明かにし、耐多重波変復調方式PSK-RZの利用が不可欠なことを示した。(2)誤り率と無誤り場所率を規定する正規化パラメタとして比伝送時間n_p・f_D/b_tを定義し、その結果パケット誤り率(無誤り伝送場所率)の定量的評価を容易とした。(3)PSK-RZの耐多重波効果のある条件では、ビット誤り率からパケット誤り率、従って無誤り場所率を推定でき、ある程度のCN比があれば、99%以上の無誤り伝送場所率を容易に実現できることを示した。(4)ビット毎誤り測定法を開発し、誤りの原因・発生機構・微細構造を解明し、誤りのランダム性とバースト性を分析すると共に、バースト誤りの発生がfadeout近傍の限られた部分のみで発生しそれ以外の部分では無誤り伝送が容易なことを明らかにした。短いパケット長に対する誤り率と無誤り場所率の評価を可能とした。(5)耐多重波効果の得られない条件でも、同期外れによるバースト全誤りはmsec程度の瞬時に回復するので、最悪の条件でも70%程度の無誤り伝送場所率を得ることができる。この時、信号を再送すれば90%程度の無誤り伝送場所率を得ることが出来る。野外実験でもこのことが確認された。(6)無誤り伝送をより容易にする技術として、円偏波の反射波軽減効果、円偏波を直交2偏波で受信した時の偏波diversity効果、指向性アンテナによるfading・誤り率軽減効果の実験的にも明らかにした。以上を総合して、移動メッセージ通信における無誤り伝送場所率の特性とシステム設計に必要な各種パラメタの基本的データを得、移動メッセージ通信の実現に明るい見通しが示された。
すべて その他
すべて 文献書誌 (52件)