研究分担者 |
前田 明 東芝, 情報・通信システム技術研究所・開発第1部, 研究主幹
小池 誠彦 日本電気, C&Cシステム研究所・コンピュータシステム研究部, 部長
板東 忠秋 日立製作所, システム開発研究所, 副所長
米澤 明憲 東京大学, 理学部, 教授 (00133116)
吉永 努 宇都宮大学, 工学部, 助手 (60210738)
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研究概要 |
本研究では,並列オブジェクト指向計算モデルを核として,プログラミング言語・マシン・応用の3者を総合的に見た,トータルアーキテクチャA-NET(Actors NETwork)の開発を行ってきた.本年度の研究成果は以下の通りである. 1.8ノード並列計算機の試作 5年度までに設計,試作した2ノード分のプロトタイプを使用して,ハードウェアの動作検証とファームウェアの実装を行い,これを8ノードに拡張した.また,20ノードまで収納可能な筐体を設計・試作し,この中に8ノードを実装した.さらに,ホスト計算機であるNEWSワークステーション上に専用のデバイスドライバとハードウェアデバック用のモニタプログラムを作成し,試作した並列計算機とVMEバスを介して結合した. 2.言語の改訂とプログラミング環境の整備 本研究で開発した並列オブジェクト指向言語A-NETLの改訂とデバッガ等の並列プログラミング環境の整備を行った.新たな言語仕様としては,A-NETLにファイルアクセス機能を追加した.また,オブジェクトの自律的動作を促進するための同期機構の実装法を改善し,評価した.A-NETL言語の処理系については,統合化されたプログラミング環境,コンパイラ,アロケータ,リンカ,シミュレータの動作の安定化と移植性の向上を図った. デバッガについては,A-NETLのソースコードレベルのブレークポイント方式とリプレイ方式を併用したシステムを試作した. 3.今後の課題 当面の課題は,8ノード版ハードウェアの調整,16ノード版への拡張(このための基板と実装部品は準備済み),ならびにソフトウェア環境をシミュレータから実機へ移行することである.また,同時にA-NETLの使用できる環境をA-NETマルチコンンピュータ以外に拡大するために,商用並列マシンAP-1000上でのA-NETL処理系の実現,ワークステーションクラスタ上へのメッセージ通信ライブラリを用いた実現などを進めていく予定である.
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