研究概要 |
平成4年度に「レ-ダ-高度計受信パルス列の計算機シミュレ-ションと海洋波モデルの確立」を達成したので,これに基づき,平成5年度では 【.encircled1.】数多くの海洋波(有義波長と有義波高をパラメ-タとして)に対する受信パルス列のデ-タベ-ス作り と 【.encircled2.】有義波長と受信パルス列との統計関係の実際的観点からの解明 を目標に研究を行い,次の成果を得た。 1.各種海洋波に対する受信生デ-タの保持:前年に確立した計算機シミュレ-ションの方法により,有義波長と有義波高をいくつか組み合わせた深海波に対する受信パルス列をデ-タ保存用光磁機デイスクにファイルしている。これは現在でも続けており,多量のデ-タの蓄積に努めている。このデ-タの保持により机上で統計処理が行え,現在のシステムで受信されるパルス列を用いた新しい探査法開発が検討可能となっている。 2.有義波長と平均受信電力との関係解明:上記のデ-タベ-スを用いて,有義波高を一定とし,有義波長のみを変化させた場合の平均受信電力をパルス観測時間に対して算定した。その結果,海洋波の平均勾配が急峻になる程,平均電力が低下し,有義波高3〜5mの海洋波では,波高に依らず,電力差2〜4dBが0.05から0.075の勾配差を示した。これはまだ一部の実験結果であるが,実験を詳細に行うことにより,有義波高及び波長と平均電力の間に一定の関係が見出せる可能性が高い。 3.有義波長と受信電力の変動との関係解明:受信電力は各時間ゲ-ト毎に観測され,その時間毎に受信電力を加えて行くと平均受信電力が得られる。その平均受信電力が統計的に規格値からみて一定な値に落着くまでの時間が,海洋波長に応じて変化することが容易に予測され,その程度を有義波長との関係で明らかにすれば上記2と組合わせて,海洋波長探査法が実用レベルで開発されよう,このための実験を現在始めており,次年度(最終年度)に完成を目指している。
|