研究概要 |
研究目的を実現するために、本年(平成4年)度は次の三つの主題をあげて実施した。 1)血流音測定センサおよび測定系の改良整備 2)臨床データの取得 a)脳外科における従来の測定を継続 b)集団検診への適用、人間ドックなどでの測定開始準備 3)信号分析およびデータ管理システムの構築 血流音測定センサの性能向上は重要課題であり、新しい形のセンサを検討して試作を行った。これらの成果は日本音響学会、電子情報通信学会技術報告にそれぞれ報告した。また、臨床応用の過程で生じた要求に対処して、集団検診に適した操作性の良い測定システムを新たに製作した。 医療現場から得られる症例データの蓄積,分析,診断指標となりえるパラメータの模索を行っている。信号分析法としては、FFT法に加えて新しくWigner分布の適用を検討した。この一部は日本エムイー学会に報告した。 蓄積データの増加,信号処理の高度化に対応するために、大量データの高速な分析処理が可能な信号分析・管理システムを構築している。その基本方針は以下の3点である。 a)現有ソフトの有効利用のため、システムのベースは汎用パソコンの上位クラスとする。 b)分析処理の高速化のため、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)を導入する。 c)大量データの管理のため、記録媒体としては大容量の光磁気ディスクを利用し、リレーショナルデータベースにより、血流信号,分析結果,カルテ等を総合管理する。 同システムのうち、本年度は主に高速処理に重点をおいてシステムの基本部分を製作した。これらにより、操作性の良いデータ収集・分析システムが構築されつつある。
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