本年度は医療現場での測定およびそのデータ解析、信号処理法の検討を中心課題として研究を実施した。多量な症例データに各種信号処理法を適用し、その結果を比較検討するため、分析処理の効率化、データの効率的管理がキーポイントである。このため、解析システムに以下の機能追加を行い対応した。 1)PCMデータレコーダおよびアンプ・フィルタ回路などをGPIB等を利用して解析システム(パソコン)から直接制御するようにし、データID、計測日時等をキーとして半自動的に解析処理を実行する機能を追加。 2)大量のデータの管理のため、記録媒体としては大容量の光磁ディスクを利用し、リレーショナルデータベースを応用して原信号、分析結果、カルテ等の総合管理を可能にした。またこのデータベース上から結果の表示形式の変更、部分的なズーミング等も簡単に行えるようにした。 また血流音センサについては、従来のPVDFのセンサに加えて、高感度化、広帯域化のために新しく、眼球表面の音響振動をゲルを満たしたカップラにより検出するゲル伝導型血流音センサを設計製作し、この新しいセンサを臨床応用し性能評価を行った。信号の解析法に関しては、ウィグナー分布を用いた結果一般に可聴域の音の少ない動脈瘤の分析に有効であることが明かになった。ここでは、DSP、数値演算プロセッサを用い処理の高速化をはかった。これらの成果は、日本ME学会、電子情報通信学会にそれぞれ論文報告している。
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