研究概要 |
継続研究の最終年度にあたり、データの蓄積すなわち医療現場での測定およびそのデータ解析(FFT,SFT,Wigner分布)を中心課題として研究を実施した。多量な臨床データに各種信号処理法を適用し、その結果を比較検討した。分析処理の効率化、データの効率的管理が重要であるため、解析システムにいくつかの機能追加を行い使用し易くした。測定例は健常者を含め120人におよんだが、これらの結果は、測定日、症例、センサ、測定部位など20におよぶ項目に分類して、上記データの解析結果を光磁器ディスクへ格納した。このデータの管理システムによって、病例毎の全てのデータ、患者毎の全てのデータあるいはセンサの違いによるデータなどを容易に読み出すことが可能になった。これにより、血管狭窄の程度とスペクトルの違いについて、いくつかの症例の比較から新しい知見を得る事ができた。またスペクトルパターンについて、健常者のパターンと比較して1.5kHzと700Hzでのレベル差の有無により、脳動脈瘤、ならびに血管狭窄の有無の判断の可能性が強くなった。また血管音センサについては、従来のPVDFのセンサに加えて、高感度化、広帯域、眼球横振動に不感な液体伝導型血流音センサを新しく開発し、臨床応用を行って性能評価をしたが、この型の改良型は冠状動脈狭窄の検出にも適用できることを見いだし発展させることができた。これらの成果は、日本ME学会、電子情報通信学会にそれぞれ論文報告している。
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