研究課題/領域番号 |
04555090
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊福部 透 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (70002102)
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研究分担者 |
泉 隆 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (80193374)
川嶋 稔夫 北海道大学, 工学部, 助教授 (20152952)
高橋 誠 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (10154858)
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キーワード | 触覚情報処理 / テレイグジスタンスロボット / 人工現実感 |
研究概要 |
本課題は、麻痺上肢やロボットハンドのための触覚情報の検出と呈示に関する研究であり、材質感のような触覚の質に関する情報をできるだけ忠実に検出して呈示する感覚フィードバッグ型ハンドを開発している。そのため触感覚がどのような要因で決定されるのかを調べ、表面粗さ、粘性、温度の3つの物理的要素が重要であることを確かめている。 平成4年度では、ケミカルエッチングで作った凹凸パターンシートやサンドペーパを手指に呈示し、どの程度の表面粗さで「ざらざら感」を生じさせることができるかを調べた。その結果、30μm以上の粒子径からなる表面粗さで「さらさら感」から「ざらざら感」に移行すること、凹凸パターンをなぞったときに、8本/mmを境に「つるつる感」から「凸凹感」に移行することなどが分かった。次に、粘度の異なる様々なシリコンを用いて粘性に関する心理物理実験を行い、「ぬるぬる」というような感覚と粘度との関係を明らかにした。その結果、17dpa・sの粘度で「ぬるぬる感」になることなどが示された。また、ずれ感覚がやっと生じるときの物体と皮膚表面の位置ずれを求めたところ、位置ずれは表面粗さにはあまり依存しなかったが、ずらす速度や表面の粘度によって大きく変化した。さらに、これらの実験を物体の温度を変えた場合、触感覚がどのように変化するかを調べた。その結果、物体表面が32度のとき最もずれを検出しやすいことが分かった。次に、木板、ガラス板、アルミ板、ゴム板、アクリル板などを触れさせて識別実験を行い、同時に皮膚表面の温度時間変化を測定した。その結果、温度変化と材質感とが極めて良く一致することが判明した。そこで、ペルチェ素子を用いて人工的に温度変化パターンを作り指先の皮膚表面に呈示したところ、色々な材質感を生じさせ得ることが分かった。以上から、触覚ディスプレイ設計のための基礎的資料を得た。
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