座屈発生後の構造部材・システムの挙動のように、幾何学的非線形性を示す構造応答の感度解析手法の定式化を行った。すなわち、 (1)板の弾性大たわみ挙動の感度解析の定式化を、解析解に基づいて行った。具体的には、板厚・長さ・幅などに関する平均応力およびたわみの両方の感度を求める方法を示した。 (2)防撓板の弾性大たわみ挙動に関しても、解析解に基づく感度解析手法の定式化を行った。 (3)有限要素法に基づいて、幾何学的非線形性を示す構造応答の感度解析を行うための定式化を示した。 (4)この定式化に従い、1次元の梁・柱要素を用いた弾性大たわみ解析のための計算コードを作成した。 (5)テイラー級数展開法に基づく再解析を、得られた感度を用いて行う手法を導いた。 上記の定式化に基づく計算コードを用いて、板、防撓板および梁・柱の弾性大たわみ挙動の感度解析および再解析を行い、以下に知見を得た。〓(1)荷重制御で解析を行う場合の感度は、座屈荷重近傍で大きな変化を見せる。 (2)その結果、この感度を用いた再解析解は、座屈荷重近傍で乱れる。ただし、座屈荷重を越えると、荷重の増加と共に再解析解は再び、厳密解に収束して行く。 (3)座屈荷重近傍における再解析解の乱れは、初期たわみが小さいほど大きくなる。初期たわみがゼロの場合は、座屈の瞬間の感度が無限大となるため、たわみの再解析解は座屈荷重では無限大となる。 (4)変位制御で解析を行う場合の感度は、座屈荷重近傍でも大きくは変化しない。 (5)その結果、この感度を用いた再解析解は、座屈荷重近傍でも乱れない。
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